今年こそはお盆に帰省したかったのですが、昨年に引き続き今年も見送ることになりました。昨年のお盆休みといえば、自宅の庭でプールやBBQをして楽しんでいたのですが…今年は雨続きのため庭に出ることもままならない状況です。仕方がないので、最近はお風呂をプール代わりにして息子達を遊ばせています。
◎昨年の記事はこちら
【総集編】自宅の庭で夏休み！〜おうち時間で夏休みを満喫しよう！〜 - アタマの中は花畑
いつもと違うお盆休みを過ごしているところなのですが、ブログの中身くらいはお盆らしくしておきたいところです。前置きが長くなりましたが、今回はお盆の風習について取り上げようと思います。
私の実家では、お盆になると「なすで作られた牛」を飾っています。家庭によっては「きゅうりで作られた馬」も飾っているようなのですが、この牛・馬にはどのような意味が込められているのでしょうか？
きゅうりの馬・なすの牛の正体は？
お盆の際に飾られるきゅうりの馬は精霊馬(しょうりょううま)、なすの牛は精霊牛(しょうりょううし)と呼ばれます。精霊馬・精霊牛とは、きゅうりやなすにおがら(皮を剥いだ麻の茎)あるいは割り箸を刺して作るお供え物のことで、盆棚・精霊棚などに飾られます。
一般的に、きゅうりで作られたものは「馬」、なすで作られたものは「牛」に見立てられます。
精霊馬・精霊牛に込められた意味とは？
精霊馬・精霊牛は、お盆の時期にご先祖様の霊があの世⇔家を行き来するための乗り物として作られるようになったとされています。一般的に、精霊馬はあの世→家へ帰ってくる際の乗り物、精霊牛は家→あの世へ戻る際の乗り物として見立てられますが、それぞれ以下のような意味が込められています。
◎精霊馬(きゅうりの馬)
・できるだけ早く家に戻ってこられるよう、足の速い馬が用いられるようになった。
◎精霊牛(なすの牛)
・景色を楽しみつつゆっくり帰ってもらうため、足の遅い牛が用いられるようになった。
・お供え物をあの世へ持ち帰ってもらうため、牛に荷物を持たせるという意味合いもある。
なお、地域によっては行きに精霊牛、帰りに精霊馬が用いられる場合もあります。
◎精霊牛(なすの牛)
・景色を楽しみつつゆっくり戻ってきてもらうため、足の遅い牛が用いられるようになった。
◎精霊馬(きゅうりの馬)
・(ご先祖様の疲れを考慮し)迷わず帰ってもらうため、足の速い馬が用いられるようになった。
・お供え物を荷物として持たせるため、帰りは精霊馬・精霊牛がセットで用いられる場合もある。
精霊馬・精霊牛としてきゅうり・なすが用いられるのはなぜ？
精霊馬・精霊牛の材料といえばきゅうりやなすですが、そもそもなぜこれらの野菜が用いられるようになったのでしょうか？
きゅうりやなすが用いられるようになった理由については実は明らかにされていませんが、「お盆に入手しやすい野菜だったからでは？」という説が有力とされています。確かにこの時期はきゅうりやなすをはじめとした夏野菜が多く流通し、家庭菜園などでもたくさん収穫できますよね。
上記のような理由であることから、ご先祖様の乗り物になるのであれば他の野菜で代用しても問題ないようです。正直なところきゅうり・なす以外はほとんど見かけない気がするのですが…同じ夏野菜であればゴーヤやとうもろこしなどでも代用できるかもしれません。
また、地域によってはきゅうりやなすではなく、稲わらで作られた精霊馬が飾られることもあります。
地域によって風習は異なるの？
今回はお盆の飾り物の一つとして精霊馬・精霊牛をご紹介していますが、必ずしも全ての地域で飾られているものではありません。精霊馬・精霊牛を飾る風習があるのは主に北日本〜東日本と言われており、地域によっては送り盆(家→あの世へお送りする日)にしか飾らない場合もあります。ちなみに私の実家(愛知県)でも送り盆の際に精霊牛を飾るのみで、精霊馬はほとんど飾ったことがありません。
なお、西日本では精霊馬・精霊牛の代わりに精霊船(しょうろうぶね)を飾る地域もあります。精霊船は木や麦わらなどで作られた船のことで、華やかな提灯・装飾が施される場合もあります。長崎県などでは、故人の魂を弔って送る「精霊流し」も行われています。
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