野菜の種や苗を購入すると、袋やネームプレートの裏側に詳しい育て方が記載されていることがあります。その際、以下のような説明を目にすることはないでしょうか。
「連作障害を起こすため、同じ場所で連続して育てないこと」
上記の説明文を読むと「あ、同じ場所で同じ野菜を何度も育て続けるのはダメなんだな」ということは何となくわかります。しかしながら我が家のような狭い家庭菜園の場合、野菜をローテーションさせて育てられるだけの土地の余裕がないというのも避けられない現実です。ということで、今回は野菜を育てる上で障壁となり得る連作障害について少し調べてみることにしました。
連作障害とは?
連作障害とは、同じ野菜を同じ場所で何年も育て続けることで生育不良を起こし、結果として収穫量が落ちてしまう障害のことです。我が家のように小規模で育てている場合はあまり気にならないのかもしれませんが、野菜の出荷で生計を立てている方にとっては深刻な問題にもなりかねません。
連作障害の原因は?
連作障害の発生には大きく2つの原因があるとされています。
①土壌の栄養バランスの崩壊
野菜の成長には窒素・リン酸・カリなどの栄養成分が必要ですが、必要とする栄養成分の量やバランスは野菜によって異なります。したがって、特定の野菜のみを育てた場合、その野菜が必要とする栄養成分ほど多く消費されることになります。ここに再び同じ野菜を植えようとした場合、必要な栄養成分が既に使われてしまっているため、結果として生育不良を起こすことがあります。
②病害虫の増殖
もう1つの原因とされるのが病害虫です。野菜の栽培にあたっては病害虫が付き物ですが、その野菜を収穫・撤収した後も土の中には病害虫が残っていることがあります。付きやすい病害虫は野菜によって異なるため、色々な野菜を交互に育てる場合はあまり問題になりません。しかしながら、同じ野菜を連続して育てると特定の病害虫だけが増殖していくため、その分生育不良を起こすリスクも高まります。
連作障害を起こしやすい野菜・起こしにくい野菜
ここで、連作障害を起こしやすい野菜・起こしにくい野菜についていくつか取り上げたいと思います。連作障害の程度は品種によって異なり、1〜2年空けるだけで良い野菜もあれば、5年以上空ける必要がある野菜もあります。
◼︎連作障害を起こしやすい野菜
・ナス科の野菜(トマト、ナス、ピーマン、じゃがいもetc.)
・マメ科の野菜(エンドウ、インゲン、落花生etc.)
・ウリ科の野菜(キュウリ、ゴーヤ、スイカetc.)
・アブラナ科の野菜(白菜、キャベツ、小松菜、大根、水菜etc.)
・セリ科の野菜(ニンジン、セロリ、三つ葉etc.) など
◼︎連作障害を起こしにくい野菜
・カボチャ、ズッキーニ、玉ねぎ、ニンニク、さつまいも、とうもろこし、アスパラガス、みょうが、シソ、稲 など
ここで注意しておきたいのは、連作障害を起こすのは「同じ野菜を連続して育てた場合」だけではなく、「同じ科の野菜を連続して育てた場合」も当てはまるという点です。もう少し言い換えると、以下のような場合に連作障害は発生します。
①トマト(ナス科)→トマト(ナス科)
→連作障害のリスク高
②トマト(ナス科)→ナス(ナス科)
→連作障害のリスク高
③トマト(ナス科)→キュウリ(ウリ科)
→連作障害のリスク低
また同じ科の野菜でも、品種によっては連作障害への耐性が異なることもあります。例えばウリ科のキュウリやゴーヤは連作に弱いですが、カボチャやズッキーニは連作を行っても収穫量が落ちることはあまりありません。
連作障害の対策について
連作障害の対策はもちろん「特定の野菜を同じ場所で連続して育てない」ことに尽きます。代表的な栽培方法としては輪作(野菜を複数のグループに分け、毎年場所をローテーションさせて育てること)などが挙げられます。
但し冒頭でも触れたとおり、土地が極めて限られている場合は輪作を行うほどの余裕もありません。その場合の対策としては以下が挙げられます。
①土壌改良剤を使う
・連作障害の主な原因は「土壌の栄養バランスの崩壊」と「病害虫の増殖」ですので、これらを解消するような土壌改良剤を土に混ぜ込みます。最近では耐連作障害に特化した製品も多く取り扱われています。
ヤサキ 連作障害ブロックW 400g(土壌改良材・有機肥料・プランターの土 用土再利用・有機栽培・ガーデニング・オーガニック 家庭菜園・園芸)
②土を総入れ替えする
・プランターや鉢で野菜を育てている場合は、中の土を総入れ替えしてしまうのも一つの手です。土が勿体ない気もしますが、最も単純でわかりやすい対策なのではないでしょうか。