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【桜】ソメイヨシノの開花日はどうやって予想しているの? - アタマの中は花畑
前回の記事で「桜(ソメイヨシノ)の開花日予想」について触れたのですが、この時期の開花動向が気になる植物は他にも存在します。それが花粉症の原因となるスギやヒノキです(※)。花粉症の症状は花粉の飛散量に概ね比例するため、毎シーズンの飛散量予想(平年に比べて多い/少ない、昨年に比べて多い/少ない等)を気にされる方も多いではないでしょうか。ソメイヨシノと同様、花粉飛散量についてもシーズン前から予想されている印象ですが…正確な予想はどのようにして行われているのでしょうか?
※花粉症の原因となる植物は他にもブタクサ、イネ、シラカバなどが挙げられます。本記事では、スギとヒノキの開花についてのみ触れています。
◎花粉症についてはこちら
【花粉症】スギ・ヒノキが少ない都会でも花粉症に悩まされるのはなぜ? - アタマの中は花畑
スギ(杉)の概要
科・属名:ヒノキ科スギ属
種別:常緑高木
花色:─
花期:2月中旬〜4月上旬頃
原産:日本
別名:オモテスギ、ヨシノスギなど
花言葉:雄大、堅実、堅固など
◎特徴:
日本固有の針葉樹で、本州〜九州にかけて広く自生しています(北海道でも植林されている例はあります)。幹が真っ直ぐに伸びることから当初は「直木(スクキ)」と呼ばれ、現在ではこれが転じて「スギ」になったと言われています。真っ直ぐ伸びた幹は木材としても重宝され、人工林の品種別植林面積では日本一を誇ります。
花期は2月中旬〜4月上旬頃で、立春を過ぎるとまずはスギ花粉が飛散し始めます。
ヒノキ(桧)の概要
科・属名:ヒノキ科ヒノキ属
種別:常緑高木
花色:─
花期:3月下旬〜4月中旬頃
原産:日本
別名:ヒバ、ホンヒなど
花言葉:不老、不死、不滅など
◎特徴:
日本固有の針葉樹で、本州〜九州の太平洋側を中心に広く自生しています。雪の多い地域や傾斜面をあまり好まないため、スギに比べると分布域はやや狭めです。スギと同様に木材として重宝され、日本の人工林の約7割がスギまたはヒノキだと言われています。
花期は3月下旬〜4月中旬頃で、スギ花粉がピークを過ぎた頃から徐々に飛散し始めます。
花粉飛散量はどうやって予想しているの?
今回も、予想方法を説明する前にスギ・ヒノキの蕾が開花するまでの変化について触れておきたいと思います。基本的にはソメイヨシノと同様で、前年夏に花芽が形成され始め、その後の休眠状態・休眠打破を経て春に開花します。なおスギとヒノキでは花期が異なるため、成長過程にも少し違いがあります。
◎スギの場合
・前年夏(6〜7月頃)に雄花が形成され始める
・前年秋(10月頃)に雄花および花粉が完成し、その後休眠状態に入る
・十分な低温を経験することで休眠打破が起こり、開花の準備を始める
・その後2月中旬〜4月上旬頃にかけて開花する
◎ヒノキの場合
・前年夏(6〜7月頃)に雄花が形成され始める
・前年秋(10月頃)に雄花が完成し、その後休眠状態に入る
・十分な低温を経験することで休眠打破が起こり、花粉の生成を再開する
・花粉が完成した後、3月下旬〜4月中旬頃にかけて開花する
上記の性質などを踏まえ、スギやヒノキの花粉飛散量予想には主に以下が用いられています。
①前年6〜7月頃の日照時間
→日照時間が長いほど雄花が多く形成され、その分花粉が多く飛散する。
②前年10〜11月頃の目視観測
→雄花が完成した頃に目視観察を行い、その結果をもとに花粉飛散量を予想する。
③前年の花粉飛散量
→前年の飛散量が少なければ翌年は多く、前年と飛散量が多ければ翌年は少ない傾向がある。
なお、花粉シーズン中の日々の飛散量予想については、主に以下が用いられています。
①当日の気温
→気温が高ければ多くの花が開花し、結果として花粉が多く飛散する。
②当日の天気・湿度
→晴天であれば花粉が多く飛散するが、雨天であれば花粉が洗い流されるためほとんど飛散しない。
③当日の風向風速
→風上にスギ・ヒノキの木があり、かつ風が強ければ多くの花粉が飛散する。