先週実家の稲刈りを手伝っていた際、畦道にイヌビエが生えていることに気付きました。イヌビエは水田雑草(=水田に生える雑草の総称)の1つで、稲の生育を阻害する恐れがあるため稲作の際は駆除対象になりがちです。
そんな「田んぼの厄介者」扱いされているイヌビエですが、ヒエの中には食用として栽培されていた品種もあります。今となっては食用のイメージがほとんどありませんが、何故食べられなくなってしまったのでしょうか?
イヌビエの概要
科・属名:イネ科ヒエ属
種別:一年草
花色:緑
花期:8〜10月
原産:日本
別名:ノビエなど
花言葉:おおらかな心など
◎特徴:
日本原産の多年草で、イヌビエを含む野生種のヒエを総称してノビエと呼ぶこともあります。寒さに強いことを表す「冷え」と、食用に適さない(=有用性がない)ことを表す「イヌ」が名前の由来とされ、痩せた土壌でもよく育ちます。田植えの頃に芽生え、稲に紛れて育ち、稲刈りより前に種子を散布することから、水田雑草の中でも特に厄介者扱いされています。
◎植物の名前に「イヌ」が付く理由はこちら
コルチカムの別名はイヌサフラン!植物の名前に「イヌ」が付くのはなぜ? - アタマの中は花畑
食用のヒエも存在するの?
冒頭で取り上げたイヌビエは食用に適しませんが、実のサイズが比較的大きいヒエは食用として栽培されています。日本で食用ヒエの栽培が始まったのは縄文時代とされ、かつてはヒエが主要穀物だった時代もありました。日本のほか、中国や朝鮮半島でも栽培されていたようです。
穀物の一時代を担ったヒエですが、昭和時代(戦後)には米の品種改良・増産が進み、次第にヒエから米に取って変わるようになりました(※寒冷地ではかつてヒエしか育てられなかったが、品種改良により寒冷地でも米が収穫可能になったため)。加えて米よりもヒエの方が味は落ちるため、現在では主に小鳥の飼料用として栽培されています。
雑穀として再注目!?
そんな米に取って変わられてしまったヒエですが、栄養価が高いことから近年再注目されています。ヒエは白米と比較して亜鉛、鉄、カリウム、食物繊維などの含有量が多く、雑穀米やお菓子の原料としても採用されています。雑穀米(十穀米、十五穀米など)のパッケージに書かれた原材料をよく見てみると、粟(アワ)や稷(キビ)に並んでヒエが記載されているかもしれませんよ。