暑がりな私は未だにダラダラ汗をかいていますが、それでも朝晩は大分涼しく感じるようになりました。この時期になると「やっとこの暑さから逃れられる!」と嬉しくなる一方で、「楽しかった夏が終わってしまう…」という虚しさも入り混じった複雑な気分になります。
そんなことはさておき、今回は秋によく見かけるススキ…の根元で咲く少し不思議な花についてご紹介したいと思います。稀に見かけられるこの花は「ナンバンギセル」と呼ばれるのですが、その正体は植物なのでしょうか?それとも、キノコなどと同じ菌類なのでしょうか?
ナンバンギセルの概要
科・属名:ハマウツボ科ナンバンギセル属
種別:一年草
花色:赤紫、白
花期:5〜6月
原産:東アジア〜南アジア
別名:オモイグサなど
花言葉:物思いなど
◎特徴:
東アジア〜南アジアの熱帯・温帯域を原産とする寄生植物で、日本では北海道〜沖縄まで広く分布しています。漢字で「南蛮煙管」と表記することからも察しがつきますが、花の見た目が南蛮人の喫煙用パイプ(煙管)に似ていることが名前の由来とされています。日本では主にススキに寄生しますが、このほか稲・サトウキビをはじめとしたイネ科の植物、ミョウガ、ギボウシなどの根元でも見かけることができます。
ナンバンギセルは植物?それとも菌?
概要欄でも触れたとおり、ナンバンギセルは列記とした植物(寄生植物)です。根元付近にはごく小さい葉があるものの、葉緑素を持たないため自身で栄養素を作り出すことができません。
ではどうするかというと、他の植物の根に寄生し養分を奪い取ることで成長します。寄生された植物には何のメリットもなく、養分を吸い取られることで最悪の場合枯れてしまうこともあります。
同じような生態の寄生植物としては、以前の記事でふれたヤセウツボなどが挙げられます。但しナンバンギセルとは異なり、ヤセウツボはマメ科・キク科・セリ科の植物の根に寄生します。
◎ヤセウツボについてはこちら
【ヤセウツボ】実は要注意外来生物!〜我が家のヤセウツボ、宿主は一体…?〜 - アタマの中は花畑
ナンバンギセルの育て方
ナンバンギセルは夏〜秋にかけて開花しますが、開花後もそのまま置いておくと種が作られます。種のサイズは砂や埃と見間違いそうになるほど小さいですが、これをまくことで翌年も花を楽しむことができます。種まきの適期は秋(採種後すぐ)か春(3〜4月頃)と言われています。
ナンバンギセルを育てる場合はまず寄生させるための親株(ススキをはじめとしたイネ科の植物、ミョウガ、ギボウシなど)を用意する必要があります。種の発芽率は元々低めですが、土を少し掘り返し、親株の根の上にふりかけるようにまくと発芽率も幾分上がるようです。
なお、ナンバンギセルは親株に寄生することを前提としているため、親株がない場所に種をまいても発芽することはありません。