突然ですが、皆さまは「海の中で昆布だしが出ない理由」についてご存知でしたでしょうか(※本記事を書き始めた時点では、私も知りませんでした)。和食に欠かせないだしですが、一般的には原料を水に浸すことで抽出します。
ところが、原料の一つである昆布は海中に生えているにも関わらず「海の中でだしが出た」なんて話はほとんど聞いたことがありません。ということで、今更ながらこの理由について調べてみることにしました。
昆布の概要
科・属名:コンブ科(※属名は品種により異なる)
種別:海藻
花色:─(胞子により繁殖)
花期:─(胞子により繁殖)
収穫期:7〜9月
原産:北半球・南半球の水温の低い海域
別名:ヒロメなど
花言葉:─
◎特徴:
コンブ科に属する海藻の総称で、北半球に26属(うち日本には14属)、南半球に9属が分布しています。植物学上は「コンブ」と呼ばれる海藻は存在せず、収穫する海域などによって呼び方が異なります(日本では真昆布、利尻昆布、日高昆布、羅臼昆布などが有名です)。水温の低い海域に分布し、日本では全体の約95%が北海道で収穫されます。なお収穫される昆布は大抵2年目のもので、中には長さが10mを超えるものもあります。
日本の三大だし
だし(出汁)の原料については色々挙げられますが、その中でも鰹節・昆布・椎茸の3つは「日本の三大だし」と呼ばれています。抽出しただしに含まれるうま味成分はそれぞれ異なり、これらを組み合わせることでさらにうま味が増すと言われています。
・鰹節(イノシン酸)
・昆布(グルタミン酸)
・椎茸(グアニル酸)
海の中で昆布だしが出ないのはなぜ?
だしと言えば水に浸すと溶け出すイメージですが、昆布に関しては海中に生えていても決してだしが出ることはありません。それではなぜ海中ではだしが出ず、市販の昆布からはだしが出るのでしょうか?
その理由は「昆布が生きているから」なのだそうです。先程も触れたとおり、昆布にはグルタミン酸と呼ばれるアミノ酸の一種が含まれています。私達人間にとってグルタミン酸はうま味成分の1つですが、昆布にとっては成長に欠かせない成分です。そのため、昆布が海中で生きている間はグルタミン酸が外に溶け出さないよう、細胞の中で保護しています。これこそが「海中で昆布だしが出ない理由」です。
その後人間によって収穫・天日干しすることで昆布の細胞が壊れ、グルタミン酸が外に溶け出せるようになります。この状態の昆布(=市販の昆布)を水に浸すことで、初めて昆布だしを抽出することができます。