突然ですが、皆さまは「とろろ昆布」と呼ばれる食材をご存知でしょうか。私自身、小さい頃は昆布関連の食材(とろろ昆布、塩昆布、佃煮など)が総じて苦手だったのですが…大人になりようやくその美味しさが分かるようになりました。
そんなとろろ昆布ですが、その名の通り「とろろ昆布」と呼ばれる品種の昆布を原料としているのでしょうか?あるいは、他の名前の昆布を加工して「とろろ」の状態にしているのでしょうか?
とろろ昆布とは?
とろろ昆布とは昆布加工品の1つであり、けずり昆布と呼ばれることもあります。そのため、冒頭で記載したような「とろろ昆布」という名前の品種が海に生えている訳ではありません。
とろろ昆布の作り方は以下の通りです。葉の側面から削り出しているため糸のような見た目をしており、手で簡単にほぐせるのが特徴です。
①酢などで柔らかくした昆布を幾重にも重ねる
②上から強い圧力をかけてブロック状にする
③ブロックを縦に向け、機械で薄く削り出す
また、とろろ昆布には水溶性の植物繊維が豊富に含まれており、糖や脂肪の吸収を緩やかにする効果があります。そのためダイエット向きの食品としても注目されています。
とろろ昆布とおぼろ昆布の違いは?
とろろ昆布によく似た食品として「おぼろ昆布」が挙げられます。てっきりただの別名なのかと思いきや、その生産工程によって明確に区別されています。両者の違いは以下の通りで、大量生産が可能なとろろ昆布の方が比較的安価で流通しています。
◎とろろ昆布の特徴(写真左)
・ブロック状に固めた昆布を側面から削り出したもの
・機械により薄く削り出している(※以前は手で削り出していたが、現在では機械が主流)
・機械による大量生産が可能なため、おぼろ昆布よりも安価
◎おぼろ昆布の特徴(写真右)
・1枚の昆布を面方向に削り出したもの
・職人の手作業により削り出している
・生産に手間を要する分、とろろ昆布よりも高価
原料となる昆布の品種は決まっているの?
とろろ昆布の原料となる昆布に関しては、特に品種の指定がある訳ではないようです。ただ全体としては、元々強い粘りを持つがごめ昆布(分布域:北海道・函館沿岸)や細布昆布(分布域:北海道・日本海側沿岸)が多く用いられています。真昆布や利尻昆布などでもとろろ昆布を作ること自体は可能ですが、粘りが弱いためあまり向いていないのだそうです。
昆布の概要
最後に、とろろ昆布の原料でもある昆布の概要について、以前の記事より引用しておきます。
科・属名:コンブ科(※属名は品種により異なる)
種別:海藻
花色:─(胞子により繁殖)
花期:─(胞子により繁殖)
収穫期:7〜9月
原産:北半球・南半球の水温の低い海域
別名:ヒロメなど
花言葉:─
◎特徴:
コンブ科に属する海藻の総称で、北半球に26属(うち日本には14属)、南半球に9属が分布しています。植物学上は「コンブ」と呼ばれる海藻は存在せず、収穫する海域などによって呼び方が異なります(日本では真昆布、利尻昆布、日高昆布、羅臼昆布などが有名です)。水温の低い海域に分布し、日本では全体の約95%が北海道で収穫されます。なお収穫される昆布は大抵2年目のもので、中には長さが10mを超えるものもあります。
◎昆布の概要は下記記事からの引用です