最近は登山をする機会自体が減ってしまっているのですが、この時期に山道を歩くとイチリンソウの花を見かけることがあります。それほど大きな花ではありませんが、ついつい足を止めて見入ってしまいます。
そんなイチリンソウですが、よく似た名前の植物にニリンソウがあります。名前から考えるとイチリンソウは1輪、ニリンソウは2輪の花を咲かせそうですが…両者の違いは本当にこれだけなのでしょうか?
イチリンソウの概要
科・属名:キンポウゲ科イチリンソウ属
種別:多年草
花色:白
花期:4〜5月
原産:日本
別名:イチゲソウ(一華草)など
花言葉:追憶、久遠の美など
◎特徴:
日本原産の多年草で、主に本州〜九州の林縁(森林の縁にあたり、比較的光が差し込みやすい場所)に分布しています。1本の茎に対して1輪の花を咲かせるとからその名が付けられました。他の植物がまだ十分に葉を茂らせていない春のうちに開花し、葉が生い茂る夏には種子を作って地上部を枯らしてしまいます(休眠状態)。
ニリンソウの概要
科・属名:キンポウゲ科イチリンソウ属
種別:多年草
花色:白
花期:3〜5月
原産:日本、朝鮮半島、中国
別名:ガショウソウ(鵝掌草)、フクベラ(福平)など
花言葉:協力、友情、ずっと離れないなど
◎特徴:
日本、朝鮮半島、中国などを原産とする多年草で、日本では主に北海道〜九州の林縁に分布しています。1本の茎からまず1輪の花を咲かせ、その後を追うようにもう1輪の花を咲かせることからその名が付けられました。花言葉である協力、友情、ずっと離れないに関しても、この性質を踏まえたものになっています。イチリンソウと同様、ニリンソウも夏には地上部を枯らし、休眠状態に入ります。
イチリンソウとニリンソウの違いは?
概要欄でも触れたとおり、イチリンソウは1本の茎に対して1輪、ニリンソウは2輪の花を咲かせることからその名が付けられました。ということで「花の数」が主な見分け方になるのですが、これ以外にも違いはあるのでしょうか?
ここでは、イチリンソウとニリンソウの特徴について簡単にまとめてみました。主な違いは花の数かと思いきや、必ずしもイチリンソウは1輪、ニリンソウは2輪という訳ではありません。そのため、場合によっては花の大きさや葉の形状から判別する必要があります。
◎イチリンソウの特徴(写真左)
・1本の茎に対して1輪の花を咲かせることが多い(※稀に2輪咲かせる場合あり)
・ニリンソウに比べて花が大きい(直径4cm程度)
・葉の切れ込みはやや深く、白い斑点模様を持たない
・葉柄を持ち、茎から少し離れた所で葉を広げる
・葉は食用には向かない
◎ニリンソウの特徴(写真右)
・1本の茎に対して2輪の花を咲かせることが多い(※稀に1輪、または3輪咲かせる場合あり)
・イチリンソウに比べて花が小さい(直径2cm程度)
・葉の切れ込みはやや浅く、白い斑点を持つ
・葉柄を持たず、茎に直接葉が付く
・若葉であれば食用となる(※猛毒のトリカブトと見た目が似ているため注意)
【余談】サンリンソウやヨンリンソウは実在するの?
本記事ではイチリンソウとニリンソウについてご紹介しましたが、同じようにサンリンソウ、ヨンリンソウなども実在するのでしょうか?
本記事を書き始めた時点ではニリンソウまでしか知らなかったのですが、調べてみたところサンリンソウは実在するようです。サンリンソウはキンポウゲ科イチリンソウ属の多年草で、こちらも1本の茎に対して3輪の花を咲かせることが多いことからその名が付けられました。
▲サンリンソウ(参考)
なお実在するのはサンリンソウまでで、ヨンリンソウ以降は実在していません。サンリンソウの中には稀に4輪以上開花するものもありますが…こちらは「ヨンリンソウ」ではなく、紛れもなくサンリンソウです。