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【ココヤシ】市街地のヤシの木に実が付いていないのはなぜ? - アタマの中は花畑
前回に引き続き、今回もハワイ旅行中に見かけた植物のご紹介です。海水浴を終えた後にホノルル市街を散策していると、立ち寄った施設の敷地内でパンノキを見かけました。息子達にも「パンノキだよ!」と言って見せてあげたのですが、あまりピンと来ていない様子でした。恐らく、息子達は「パンノキ=パン(Bread)のなる木」だと勘違いしてしまったのでしょう。
息子達に限らず、きっと多くの方は「パンノキ」と言われたら小麦粉でできたあのパンを連想されるのではないでしょうか。実際のところ、パンノキとパン(Bread)には何かしらの関係があるのでしょうか?
パンノキの概要
科・属名:クワ科パンノキ属
種別:常緑高木
花色:黄
花期:3〜4月
原産:ポリネシア地方
別名:ブレッドフルーツ、ウルなど
花言葉:献身、豪傑など
◎特徴:
ポリネシア地方(ハワイ・ニュージーランド・イースター島を結ぶ三角形の中に位置する島々の総称)原産の常緑高木で、日本では沖縄県などに植えられています。種を持つ品種・持たない品種の大きく2系統に分けられ、前者をタネパンノキ、後者をタネナシパンノキと呼び分けています。
なお、同じクワ科パンノキ科に属するパラミツ(ジャックフルーツ)と見た目がよく似ていますが、両者は別種として扱われています。
▲パラミツ(ジャックフルーツ)(参考)
名前の由来について
パンノキの実は食用とすることも可能ですが、デンプン質を多く含むため、生食には向いていません。そのため蒸したり焼いたりして食べることが多いのですが、その際の見た目がパンに似ていることから「パンノキ」と呼ばれるようになったようです(※同様の理由で、海外ではブレッドフルーツ(Bread Fruit)と呼ばれています)。また、蒸したり焼いたりする調理法自体がパンの作り方に似ているため、という説もあります。
なお食感はパンと言うより芋に近く、ほんのり甘味を持っています。私自身、パンノキの実を食べたことはないのですが…「薄い焼き芋のような味」ということなのでしょうか。
【余談】ハワイとパンノキの関係性について
今回のハワイ旅行中、冒頭の場所以外でもパンノキを見かけることができました。残念ながらタネパンノキ・タネナシパンノキのどちらかを区別することはできなかったのですが、ハワイの場合は後者の方が多く分布しているようです。
実はハワイとパンノキの間には深い関係があり、現地では「ulu(ウル)」という名前で親しまれています。食材・木材としてはもちろんのこと、ハワイの伝統工芸品としても知られるハワイアンキルト(ハワイアンキルティング)でも、パンノキの葉が描かれることがあります。