先日、近所のホームセンターで秋にまく種を探していた際「ペットグラス」と呼ばれる商品を見かけました。我が家ではペットを飼っていないためほぼ縁がないのですが、その正体に関しては少し気になるところです。
(写真はイメージです)
実際のところ、ペットグラスという名の植物が実在するのでしょうか?あるいは、私達がよく知る特定の植物のことをペットグラスと言い換えているだけなのでしょうか?
ペットグラスの正体について
ペットグラスとは主に猫が好んで食べる植物の総称で、特定の植物を指すものではありません。今回は「ペットグラス」という名でご紹介していますが、他にも猫草、キャットグラス、ペットサラダなどと呼ばれることもあります。「猫」や「キャット」の付く呼称が多いですが、猫だけではなく犬に与えるケースもあるようです。
代表的なものとしては大麦、燕麦(えんばく)、エノコログサ(ネコジャラシ)などのイネ科の植物が挙げられ、いずれも発芽したばかりの新芽を食用とします。いずれも毒草ではないため人間でも食べられますが…お世辞にも美味しいものではないため、同じ新芽であれば豆苗やかいわれ大根、もやしなどを食べた方が良さそうです。
肉食動物の猫がペットグラスを食べるのはなぜ?
同じネコ科のライオンやトラをイメージするとわかりやすいのですが、猫は分類上「肉食動物」に属しています。それにも関わらず、猫はペットグラスに代表されるような「葉先の尖ったイネ科の植物」を好んで食べる傾向があります。肉食動物である猫がわざわざペットグラスを食べるのには、何か理由があるのでしょうか?
調べてみたところ詳細な理由に関しては明らかにされていないようですが、どうやら体内の毛玉を排出するのに一役買っているようです。もう少し具体的に記載すると、ペットグラスを食べることで尖った葉先が胃の中を刺激し、猫が嘔吐するのだそうです。その際に体内に溜まった毛玉を一緒に吐き出すため、毛玉を原因とする病気(毛球症など)を防ぐ効果が期待できます。この他、食物繊維による便秘改善や、ストレス低減にも繋がると言われています。
但し、前述の通り猫は元々肉食動物なので、ペットグラスを食べなかったとしても特段支障はありません。また効果があるからと言ってペットグラスを食べさせ過ぎてしまうと、極端な嘔吐や体調不良に繋がる恐れがあります。そのため、猫の体調や体質に応じてほどほどに与えるのが良いと考えられます。
大麦・エノコログサの概要
最後に、ペットグラスとしてよく用いられる大麦・エノコログサの概要についても簡単に触れておきたいと思います。
大麦の概要
科・属名:イネ科オオムギ属
種別:一年草
花色:─(花弁なし)
花期:4〜5月
収穫期:6月
原産:中央アジア
別名:─
花言葉:富、裕福、繁栄、希望など
◎特徴:
中央アジア原産の一年草で、日本では弥生時代〜奈良時代頃から栽培されるようになりました。大きく二条大麦(デンプン質が多く大粒)と六条大麦(デンプン実が少なく小粒)に分けられ、前者はビールや麦焼酎、後者は麦茶や麦ご飯などに用いられています。このほか、種子の表皮が剥がれやすい大麦のことを裸麦と呼ぶことがあります(※対して、表皮が剥がれにくい一般的な大麦は皮麦と呼びます)。
よく小麦と対比されることがありますが、小麦はイネ科コムギ属に属しており少し性質が異なります。大麦・小麦ともに約1万年前に栽培が始まったとされる「最古の穀物」ですが、当初は大麦の用途の方が多いとされたことなどから名前に「大」が付いたと言われています(※諸説あります)。
◎大麦の概要は下記記事からの引用です
https://www.kankitsukeip.com/entry/2023/07/01/063909
エノコログサの概要
科・属名:イネ科エノコログサ属
種別:一年草
花色:黄
花期:8〜10月
原産:世界中(温帯地域)
別名:ネコジャラシ、狛尾草など
花言葉:遊びなど
◎特徴:
広く見かける野草の一つで、日本各地に分布しています。夏から秋にかけて見られる動物の尻尾のような花穂が特徴です。粟(あわ)の原種であり、食用として用いることも可能です。
◎エノコログサの概要は下記記事からの引用です
【エノコログサ】“猫じゃらし”の本当の名前はエノコログサ!名前の由来は猫ではなく犬だった!? - アタマの中は花畑