飲食店に立ち寄った際、その店のメニュー表に「スタミナ料理」が名を連ねていることがあります。いわゆるスタミナ丼、スタミナ定食のような類の料理を指すのですが、その多くにニンニクが使われている印象です。
ニンニクと言えば「食べるとスタミナがつく」イメージがありますが、数ある野菜の中でここまで言われるのはニンニクくらいのような気もします。そもそも、ニンニク=スタミナのイメージが付いているのは一体なぜなのでしょうか?
ニンニクの概要
科・属名:ヒガンバナ科ネギ属
種別:多年草
花色:─(花弁なし)
花期:4〜5月
収穫期:6〜9月
原産:中央アジア
別名:オオヒル(大蒜)、ヒル(蒜)など
花言葉:勇気と力、息災など
◎特徴:
中央アジア原産の多年草で、紀元前3200年からには古代エジプトで既に栽培・利用が始まっていたとされています。日本へは8世紀に渡来しましたが、一般市民に広く親しまれるようになったのは明治時代以降とも言われています。
一般的には白い鱗茎を食用としますが、春先に伸びる花茎も「ニンニクの芽」として食べることができます。また植物学上の花は持っておらず、花茎の先端には総苞(花弁のような部分)と珠芽(種子のような部分)がそれぞれ付いています。
◎ニンニクの芽についてはこちら
【ニンニク】ニンニクの芽は「茎」じゃないの?〜花茎なのに芽と呼ぶのはなぜ?〜 - アタマの中は花畑
「スタミナ料理」の定義について
スタミナ(stamina)には持久力という意味合いがありますが、必ずしもスタミナ料理=持久力を維持するための料理という訳ではありません。確かに、スタミナ料理を食べながらマラソン競技に参加するか?と言われたら、なかなかそんなイメージは湧かないですよね。
ということで調べてみたところ…スタミナ料理とは、一般的に食欲増進や疲労回復のための料理を指すことが多いようです。明確な定義こそありませんが、高カロリー・高タンパクで、かつ香辛料を多く用いた炒め物が多い印象です。食材としては今回取り上げたニンニクのほか、豚肉やニラ、鰻、レバー、卵などがよく用いられます。
「スタミナがつく」と言われるのはなぜ?
ニンニクを食べるとスタミナがつくと言われる理由は、含まれる栄養素が主に関係しています。特に、ニオイ成分であるアリシンにはビタミンB1の吸収効率を高め、糖質のエネルギー代謝を活性化させる効果があります。これにより食物から摂取したエネルギーを効率良く利用できるようになるため、食欲増進や疲労回復にも繋がると言われています。これこそが「ニンニクを食べるとスタミナがつく」と言われる理由です。
なお、アリシン自体はヒガンバナ科ネギ属の他の野菜(ニラ、ネギ、玉ねぎ、ラッキョウなど)にも含まれていますが、その含有量はニンニクが頭一つ抜けています。前述の野菜達もスタミナ料理によく利用されていますが、食欲増進・疲労回復の面ではニンニクの寄与が大きいのかもしれません。