今年もまたりんごの美味しい季節がやって来ました。りんごと言えば秋に収穫する果物ですが、保存が効くため私にとっては「冬に食べる果物」のイメージが強いです。日本人にも馴染みの深い果物で、1世帯あたりの果物消費量はバナナに次いで2位なのだそうです(※3位はみかん)。
今回はそんなりんごに関する話題です。数あるりんごの中で私は「サンふじ」と呼ばれる品種が特に好きなのですが、サンふじと言えば実の中央付近にできる黄色い蜜が有名ですよね。「蜜入りりんご」の名で取り扱われることもあり、甘い実の代名詞として用いられている印象です。私自身も何気なく「蜜」と呼んでいますが、そもそもりんごの蜜って何者なのでしょうか？？
りんごの蜜とは？
りんごの蜜の正体は「細胞から溢れ出した甘味成分」です。りんごの実が大きくなるにあたり、葉なとで作り出された栄養成分が実の中に蓄積されていきます。この時、栄養成分は糖に変換された上で実の中の細胞へと運ばれます。こうしてりんごの実は徐々に成長していきます。
りんごが完熟する頃には細胞の中が糖でいっぱいになり、飽和状態に達します。飽和状態となる前に収穫した場合、りんごには蜜は形成されません。一方で、完熟した後も収穫しなかった場合は、運ばれてくる糖の量が過剰となり、やがて細胞だけでは抱えきれなくなります。その結果として細胞から糖が染み出し、細胞と細胞の間に流れ込みます。細胞と細胞の間まで糖で充満することにより、りんごの果肉は透き通った黄色に変化します。この透き通った黄色の部分こそが「りんごの蜜」というわけです。
蜜入りりんごは本当に甘いの？
ここまでの内容をまとめると、りんごの蜜は「完熟したりんごに蓄積された糖が飽和し、細胞と細胞の間に染み出したもの」と言い換えることができます。もう少し簡単に表現するするとすれば、(少し強引ですが)以下のようなイメージでしょうか。
・蜜入りりんご→完熟後に収穫したりんご
・蜜なしりんご→完熟前に収穫したりんご
ということで、蜜入りりんごは完熟していることを前提としているため、蜜なしりんごに比べて甘いと考えられます。甘いとは言っても、砂糖のような強烈な甘さではなく、りんごらしいスッキリとした味わいを楽しむことができます。
蜜入りりんごの見分け方は？
りんごを購入する際、せっかくであれば蜜入りりんごを選びたいところですよね。ここでは蜜入りりんごの見分け方についても少しご紹介したいと思います。
①果皮が赤い
果皮が赤いということは、りんごが完熟している証です。蜜が入るのは完熟したりんごであるため、果皮がより赤いものを選ぶのが良さそうです。
②果実の底(お尻)が飴色をしている
りんごの底(お尻)にあたる部分が飴色(濃い黄〜橙)のものを選ぶと、蜜が入っている可能性が高いようです。①と同様、完熟したりんごの証ですね。
③サイズが比較的小さい
サイズの小さいりんごの場合、細胞の中に含むことのできる糖の量も少なくなります。そのため、糖が飽和する可能性も高く、蜜が入りやすいと考えられます。
④鮮度が高い
鮮度が落ちるとりんごの蜜が失われてしまうケースがあるようです。詳細はこの後記載します。
上記のようなりんごを選ぶと、蜜が入っている可能性が比較的高いようです。もちろん100%入っているわけではないため、その点はご了承いただければと思います。
蜜入りりんごの注意点
良いこと尽くめのように感じられる蜜入りりんごですが、取り扱う際の注意点もいくつか存在します。基本的には、鮮度の高いうちに食べてしまえば問題ないと考えられます。
①蜜なしりんごよりも傷みやすい
りんごの蜜の正体は、細胞から溢れ出した甘味成分(糖)です。そのため、蜜なしりんごに比べると傷みやすいという欠点があります。蜜入りりんごを手に入れたら、鮮度の高いうちに味わった方が良いかもしれません。
②鮮度が落ちると蜜が消える？
りんごの鮮度が落ちると実の中の甘味成分が徐々に少なくなるため、蜜として溢れ出していた糖が細胞の中に戻るケースがあるようです。この際、蜜特有の透き通った黄色は失われ、本来のりんごらしい色に戻ります。その結果、蜜が消えたように見えるというわけです。
そんなことを書いていたら、蜜入りりんごが食べたくなってきました。今夜は蜜の入っていそうなりんごを購入して帰ることにします。
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