我が家の近所では、この時期薄い赤色のケシをよく見かけます。たまに「これって栽培禁止のケシじゃないの?」と聞かれるのですが、こちらはナガミヒナゲシと呼ばれる品種で、禁止対象ではありません。
では、どのような品種が栽培禁止とされているのでしょうか?今回は禁止になった理由も含めて少し調べてみることにしました。
ナガミヒナゲシの概要
本題に入る前に、まずは今回見かけたナガミヒナゲシの概要について簡単に紹介します。繰り返しますが、日本ではナガミヒナゲシは栽培禁止対象とはされていません。
科・属名:ケシ科ケシ属
種別:一年草(越年草)
花色:淡赤
花期:4〜5月
原産:地中海沿岸
別名:ナガミノヒナゲシ、ロング・ヘッデッド・ポピーなど
花言葉:平静、慰め、癒しなど
◎特徴:
地中海沿岸原産の一年草または越年草で、日本では帰化植物として全国各地に分布しています(※沖縄県などの一部地域を除く)。ヒナゲシに似た花を咲かせ、かつ細長い実をつけることからその名が付けられました。繁殖力が非常に強く、地域によっては(栽培禁止ではないものの)駆除対象に指定している場合もあります。
栽培禁止ではないケシ
先程のナガミヒナゲシを含め、例えば以下に該当する品種は栽培しても問題ありません。私自身も、アイスランドポピーとカリフォルニアポピーは現在花壇で育てています。
◎アイスランドポピー
・シベリア原産のため「シベリアヒナゲシ」と呼ばれることもある。本来は多年草たが冷涼な気候を好むため、日本では一年草扱いされることが多い。
◎ヒナゲシ
・ヨーロッパ原産。元々は畑の雑草として扱われており、ケシの中では比較的小型。ナガミヒナゲシに似ているが、こちらの方が花はやや大きい。
◎オニゲシ
・西アジア原産で、オリエンタルポピーとも呼ばれる。本来は多年草だが、アイスランドポピーと同様に日本では一年草扱いされることが多い。
◎カリフォルニアポピー
・北米原産。花の形が家紋の花菱に似ていることからハナビシソウとも呼ばれる。上述のアイスランドポピー、ヒナゲシ、オニゲシはケシ科ケシ属に属するが、本種はケシ科ハナビシソウ属に分類される。
◎ブルーポピー
ヒマラヤ原産で、その名の通り青い花を咲かせる。高地でのみ生育し、かつ短期間しか開花しないため「幻のケシ」と呼ばれることもある。ケシ科メコノプシス属に属する。
栽培禁止のケシ
数あるケシのうち、アツミゲシとボタンゲシ(ソムニフェルム種)は「あへん法」、ハカマオニゲシは「麻薬及び向精神薬取締法」によりそれぞれ日本での栽培が禁止されています。故意でなければ罪には問われませんが、許可なく故意に栽培した場合は懲役1年以上10年以下の罪に罰せられる可能性があります。
◎アツミゲシ
・ヨーロッパ〜北アフリカ原産。日本では渥美半島(愛知県)で最初に帰化が確認されたため、その名が付けられた。花色は淡いピンク色または赤色で、中央付近のみ濃い紫色をしている。
◎ボタンゲシ(ソムニフェルム種)
・西アジア原産。八重咲きの品種はボタンゲシと呼ばれ、花姿がボタンに似ていることからその名が付けられた。海外では園芸品種として流通しているが、日本では栽培が禁止されている。
◎ハカマオニゲシ
・中央アジア原産。花色は濃い赤色で、オニゲシ(オリエンタルポピー)に酷似している。
なぜ栽培が禁止されているの?
アツミゲシとボタンゲシ(ソムニフェルム種)には麻薬成分のモルヒネ、ハカマオニゲシには麻薬成分のテバインがそれぞれ含まれています。これらの成分が悪用されるケースは稀であるものの、「あへん法」や「麻薬及び向精神薬取締法」に抵触する恐れがあるため栽培が禁止されています。
一方で、前半で取り上げたアイスランドポピー、ヒナゲシ、オニゲシ、カリフォルニアポピー、ブルーポピーには上記の麻薬成分が含まれないため、栽培しても問題ありません。
一般的なケシとの見分け方は?
ボタンゲシに関しては、八重咲きのため見分けは比較的容易と言われています。しかしながら、ヒナゲシとアツミゲシ、オニゲシとハカマオニゲシはそれぞれよく似ているため注意が必要です。主な見分け方は以下のとおりで、前者は葉、後者は花で区別することが多いようです。
◎ヒナゲシ
・葉の切れ込みが深い
・葉が茎を巻き込むことはない
◎アツミゲシ
・葉の切れ込みがやや浅い
・葉が茎を巻き込むように生える
◎オニゲシ
・花色は橙〜朱色
・花弁の付け根に黒い斑点模様がない
・花の下側に苞葉(はかま)はない
◎ハカマオニゲシ
・花色は濃い赤色
・花弁の付け根に黒い斑点模様がある
・花の下側に4〜6枚程度の苞葉(はかま)がある
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