突然ですが、皆さまは「グミ」という名前の果物をご存知でしょうか。店頭に並ぶ機会がほとんどないためあまり馴染みの無い果物かもしれませんが、ちょうど今くらいの時期に収穫期を迎える品種も存在します。例えばこちらの写真は、つい最近私が道端で見かけたグミの実です。実の形や収穫期から判断する限り、おそらくナツグミだと思っています(※間違っていたらすみません)。
そんなグミですが、「グミ」という名前だけ聞くとお菓子を想像される方が多いのではないでしょうか。果物のグミとお菓子のグミ、両者には何かしら関係性があるのでしょうか?
グミ(ナツグミ)の概要
ここでは、冒頭で取り上げたナツグミの概要について触れています。
科・属名:グミ科グミ属
種別:落葉小高木
花色:白
花期:4〜5月
収穫期:5〜6月
原産:日本
別名:ホソバナツグミなど
花言葉:用心深い、野生美、心の純潔など
◎特徴:
日本原産の落葉小高木で、日本では北海道〜九州にかけて広く分布しています。グミの中でも夏に収穫期を迎えることからその名が付けられました。赤く熟した果実(※正確には苺の赤い部分と同じ偽果に該当)は渋味や酸味を持ちますが、食用にすることが可能です。
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果物のグミとお菓子のグミの関係は?
果物とお菓子、どちらも日本語では「グミ」と記載します。確かに見た目が全く似ていないこともないのですが、両者には何かしらの関係性があるのでしょうか?
関係性を知るためにも、まずはそれぞれの名前の由来について調べてみました。果物のグミの場合、主に以下が由来だとされています。
・実を口に含み皮を出すという意味の「含む実(ククムミ)」が変化した
・果実が渋味を持つため「エグミ」と呼ばれ、それが変化した
・九州の方言である「グイミ(グイは棘、ミは実を指す)」が変化した など
一方でお菓子のグミについては、発祥地のドイツ語でゴムを意味する「Gummi」が名前の由来だとされています。したがって果物のグミとお菓子のグミは文字こそ同じですが、名前の由来から考えると両者は全く無関係ということになります。
さまざまなグミ達
グミ科グミ属の植物は北半球を中心に約60種が分布し、日本ではうち15種ほどが自生しています。ここでは、日本で見かけることができる代表的な品種をいくつかご紹介したいと思います。
◎トウグミ
ナツグミの変種で、果実はナツグミよりも一回り大きいです。花や実が大きく中国からの外来種と勘違いされたことからその名が付けられました(唐茱萸)。見た目はナツグミによく似ていていますが、トウグミの葉には星状毛、ナツグミの葉には鱗状毛が生えているため(よく見れば)区別することが可能です。落葉樹で、収穫期は5〜6月頃です。
◎ビックリグミ
トウグミの栽培品種で、果実の大きさは3cmほどです。日本で見かける品種の中では最も果実が大きく、その大きさが名前の由来となりました。ダイオウグミとも呼ばれ、グミの中では甘味が強いと言われています。落葉樹で、収穫期は6〜7月頃です。
◎アキグミ
秋に熟すことからその名が付けられました。丈夫で育てやすい反面、果実は小さく渋みが強い点が特徴です。落葉樹で、収穫期は9〜11月頃です。
◎ナワシログミ
稲の苗代(なわしろ)を準備する頃に熟すことからその名が付けられました。今回取り上げた品種の中では唯一秋に開花し、実の状態で冬を越します。常緑樹で、収穫期は4〜5月頃です。