先日、仕事からの帰り道で月下美人(ゲッカビジン)が咲いているのを見かけました。月下美人は私が知る「サボテン」の中でも特に花が大きく、その名に恥じない華やかさを持っています。
そんな月下美人ですが、花の見た目自体はクジャクサボテンにとても良く似ています。実際のところ、月下美人とクジャクサボテンは同じ植物を指しているのでしょうか?
月下美人(ゲッカビジン)の概要
科・属名:サボテン科クジャクサボテン属(エピフィルム属)
種別:多年草
花色:白
花期:6〜10月
原産:メキシコ
別名:月来香(ゲツライコウ)など
花言葉:あでやかな美人、はかない美、ただ一度だけ会いたくてなど
◎特徴:
クジャクサボテンの原種の1つで、日本へは大正時代末期に渡来しました。昭和天皇(皇太子時代)が台湾を訪れた際にこの花の名前を聞いたところ、当時の台湾総統が「月下の美人です」と答えたことが名前の由来だとされています。
コウモリなどを介して受粉するため、開花の際は強い香りを発します。その性質から、月来香(ゲツライコウ)と呼ばれることもあります。
クジャクサボテンの概要
科・属名:サボテン科クジャクサボテン属(エピフィルム属)
種別:多年草
花色:赤、ピンク、橙、黄、白など
花期:5〜6月
原産:メキシコ
別名:オーキッド・カクタス、エピフィルムなど
花言葉:幸せをつかむ、あでやかな美人、はかない美など
◎特徴:
月下美人を含む原種を品種改良した園芸品種で、日本へは江戸時代初期に渡来しました。原種は十数種類程度と言われていますが、その後ヨーロッパを中心に品種改良・交配が進んだことで現在では雑種を含む数百種類が流通しています。花の直径は5〜30cm程度(※品種により異なる)ととても大きく、花弁がクジャクの羽を連想させることからその名が付けられました。
なお別名の1つにオーキッド・カクタス(=ランのようなサボテン)がありますが、ラン科の植物とは性質が全く異なります。
月下美人とクジャクサボテンの違いは?
概要欄の記載を踏まえると、月下美人を含む原種を品種改良したものがクジャクサボテンということになります。そのため広い意味では同じ植物だと言えますが、厳密には以下の点が異なります。花色、花期、開花時間などである程度見分けられますが…冒頭で取り上げたような「初夏の夜に咲く白い花」だけは非常に見分けが難しいです。
(※冒頭の花に関しては、翌朝の出勤時に萎んでいたことから月下美人と判断しています)
◎月下美人の特徴(写真左)
・花色は白のみ
・初夏〜秋にかけて何度も開花することがある
・夕方〜夜に開花し、翌朝には萎む
・花は強い香りを持つ
・葉の縁にほとんど棘がない
・新芽の段階から平たい形状をしている
◎クジャクサボテンの概要(写真右)
・花色は赤、ピンク、橙、黄、白などさまざま
・初夏にのみ開花する
・夕方〜夜に開花し、翌日まで咲き続ける
・花はほとんど香りを持たない
・葉の縁に少し棘がある
・新芽は細長く、徐々に平たい葉へ成長する