年末年始に実家へ帰省した際、庭先のタマリュウに青い実が付いていることに気が付きました。植物の世界では「青色の実」自体が稀なようですが、この色こそ正真正銘の青と言えるのではないでしょうか。
さて、そんな青い実を付ける植物としては、他にリュウノヒゲ(ジャノヒゲ)なども挙げられます。リュウノヒゲとタマリュウは見た目が良く似ていますが、そもそも両者は同じ仲間なのでしょうか?
タマリュウの概要
科・属名:キジカクシ科ジャノヒゲ属
種別:多年草
花色:白、紫
花期:7〜8月
原産:日本、朝鮮半島、中国
別名:ギョクリュウなど
花言葉:変わらぬ想い、不変の心、深い思いやりなど
◎特徴:
日本、朝鮮半島、中国を原産とする常緑性の多年草です。草丈が低く、かつ日陰や病害虫にも強いことから、グランドカバープランツとしても重宝されています。グランドカバープランツと言えば他に芝生などが挙げられますが、タマリュウは冬でも葉が枯れることはなく、一年中景観を維持できる点が特徴です。一方で芝生に比べると踏みつけには弱いため、あまり人が立ち入らない場所によく植えられています。
青い部分は実じゃなかった!?
以前の記事で、青い実を付ける植物の代表としてノブドウをご紹介しました。ノブドウの実は元々白で、虫が寄生することでさまざまな色に変化しているようなのですが、タマリュウの実に関しては総じて青い色をしています。そもそも「生き物に判別されにくい」「食欲を減衰させる」などの理由から、青色の実自体があまり存在しないはずなのですが…タマリュウの実が鮮やかな青色をしているのは一体なぜなのでしょうか?
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…と思って調べてみたところ、そもそも青い部分は実(果肉)ではなくて種子なのだそうです。タマリュウの場合、花の段階では子房(後に果肉となる部分)と胚珠(後に種子となる部分)の両方が雌しべに付いています。ところが、受粉を済ませると子房を突き破るように胚珠だけが成長し、最終的には「青い種子」となります。例えば以下の写真では、種子の付け根にトマトのヘタのような白い物が付いていますが…この部分こそが子房に該当します。
この種子をまいて育てることも可能ですが、タマリュウの場合は株分けで増やす方が一般的なようです。結局のところ種子が青くなった理由には辿り着けなかったのですが…何となく「動物達に種子を運んでもらわなくても繁栄できるため、種子の色には拘らなかった(ので青色になった)」のかな?と想像しています。
リュウノヒゲとタマリュウの違いは?
リュウノヒゲとタマリュウはどちらもキジカクシ科ジャノヒゲ属に属しており、分類上は同じ仲間です。…と言うより、リュウノヒゲを品種改良して小型化したものがタマリュウなので「リュウノヒゲの中の一品種がタマリュウ」と捉えるのが良いのかもしれません。
両者の主な違いは葉の長さで、リュウノヒゲが15〜30cm程なのに対して、タマリュウは5〜15cm程しかありません。「タマリュウ」という名前も、リュウノヒゲに比べて小型であることなどが由来となっています(※ちなみに、リュウノヒゲは伸びた葉が龍の髭に見えることから名付けられました)。