先日パンケーキを自宅で作った際、上にメープルシロップ(とバター)をかけていただきました。我が家ではパンケーキかフレンチトーストを食べる時くらいしか使わないのですが、蜂蜜とは違った風味があって美味しいですよね。
(※写真はイメージです)
そんなメープルシロップはカエデの樹液を主な原料としています。「カエデ」と呼ばれる木であれば私達の身の回りでもよく見かけますが、どんな品種であってもメープルシロップ(の原料)は採れるものなのでしょうか?
メープルシロップとは?
メープルシロップとは、主にサトウカエデの樹液を煮詰めて凝縮した甘味料のことを指します。独特の風味を持ち、ホットケーキやワッフルにかけたり、菓子の材料として用いたりされています。北米の先住民(インディアン)がサトウカエデの樹液を食用・薬用に用い始めたのが起源と言われ、その後フランス人開拓者達によってこの伝統が受け継がれたことで、カナダの特産品として定着しました(※諸説あります)。現在でも生産量の約80%をカナダ産を占めており、アメリカを含めた北米全体では90%に達するとも言われています。
メープルシロップの原料となる樹液は、3〜4月の春先に採取します。一般的に、サトウカエデは樹液の糖度を高めることで厳しい寒さに耐えています。ただこの時期は休眠期にあたるため、樹液の巡りも悪いのですが…春が近付くにつれて樹液が木全体を巡るようになり、採取しやすい状態になります。そのため、冬の間に溜め込んでいた糖度の高い樹液が巡り始める春先に採取されています。なお、本格的な春を迎えると枝葉の成長に糖分が使われてしまうため、樹液の採取は3〜4月のごく限られた期間に行われています。採取したばかりの樹液は無色透明ですが、その後煮詰めていくうちに徐々に茶色へと変色していきます。
サトウカエデの概要
ここで、メープルシロップの原料として取り上げたサトウカエデ(砂糖楓)の概要についてご紹介します。
科・属名:ムクロジ科カエデ属
種別:落葉高木
花色:赤
花期:4〜5月
原産:北米
別名:メープルツリー、シュガーメープルなど
花言葉:遠慮、大切な思い出、秘蔵の宝など
◎特徴:
北米原産の落葉高木で、メープルシロップの原料となることから和名では「サトウカエデ」と呼ばれます。カナダを代表する樹木で、同国の国家や硬貨にもサトウカエデの葉がデザインされています。日本ではメープルシロップのイメージが強い印象ですが、木材としても優れており(重硬で衝撃に強い)、家具や建具としても重宝されています。
日本へは明治時代以降にやって来ましたが、メープルシロップの生産自体はあまり行われておらず、主に街路樹として植栽されています。
普通の「カエデ」の木からもメープルシロップは作れるの?
今回取り上げたサトウカエデは、世界中に約130種類が分布しているとされる「カエデ」の1種です。日本でもこのうち27種類(野生種のみ)を確認することができますが、サトウカエデ以外の品種からもメープルシロップの原料は採れるものなのでしょうか?
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調べてみたところ、日本ではサトウカエデによるメープルシロップの生産こそほとんど行われていないものの、代わりにイタヤカエデ(北海道〜九州に分布)やウリハダカエデ(本州〜九州に分布)を原料としてわずかに生産されているようです。つまり、サトウカエデ以外のカエデからもメープルシロップは作れるということになります。
▲イタヤカエデ(参考)
メープルシロップは前述のカエデ達から採れる樹液を煮詰めて作りますが、当然ながら元々の糖度が高い樹液の方が生産時の手間は少なく済みます。サトウカエデに関しては、数あるカエデの中でも樹液の糖度が高いため、メープルシロップの生産に適した品種とも言えるのだそうです。一方で、イタヤカエデやウリハダカエデの樹液は糖度がやや低く、ここからメープルシロップを生産しようとするとどうしても手間がかかってしまいます。そのため、これらを原料とした「国産メープルシロップ」はカナダ・アメリカ産に比べて高値で扱われています。