先日、自宅の近所で鮮やかな橙色の実をつける木を見つけました。あまり見覚えのない木だったため、帰宅してからChatGPTに聞いてみたところ「ピラカンサス」という答えが返ってきました。
ピラカンサスと言えば赤い実をつけるイメージを(勝手ながら)持っているのですが、今回見つけた木も同じくピラカンサスだったのでしょうか?ChatGPTの回答にも少し不安があったため、改めて調べてみることにしました。
ピラカンサスの概要
科・属名:バラ科トキワサンザシ属(ピラカンサ属)
種別:常緑低木
花色:白
花期:5〜6月
原産:ヨーロッパ〜アジア西部、中国(品種により異なる)
別名:ピラカンサ、トキワサンザシ、タチバナモドキ、カザンデマリなど
花言葉:愛嬌など
◎特徴:
バラ科トキワサンザシ属に属する常緑低木(トキワサンザシ、タチバナモドキ、カザンデマリなど)の総称で、日本ではこのうちトキワサンザシのことを「ピラカンサス」と呼ぶことが多いです。春には花、秋には実をそれぞれ楽しめる上、強剪定にも強く育てやすいため庭木としても人気が高いです。一方で枝には棘が生え、かつ種子には毒性があるため、管理の際は少し注意が必要です。
橙の実でも「ピラカンサス」?
今回私が見かけた「橙の実を付けるピラカンサスっぽい樹木」についてもう少し調べてみたところ、厳密にはタチバナモドキと呼ばれることがわかりました。タチバナモドキは中国原産の常緑低木で、バラ科トキワサンザシ属に属するため「ピラカンサス」と呼ばれることもあります。
しかしながら、日本では「ピラカンサス=トキワサンザシ」として認識されることが多いため、冒頭の私のように「別の樹木では?」と思い込んでしまうこともあるようです。またトキワサンザシは赤い実、タチバナモドキは橙の実を付けるため、同じ理由によりピラカンサス=赤い実を連想しやすくなります。
▲トキワサンザシ(参考)
よって、ここまでの内容をまとめると以下の通りです。「ピラカンサス」と回答したChatGPTも、「ピラカンサスじゃないのでは?」と疑った私も、ある意味合っていたことになります。
・今回見つけた木はタチバナモドキだが、広い意味ではピラカンサスとも呼ばれる。
・日本では、ピラカンサスと言えばトキワサンザシ(赤い実)を連想することが多く、タチバナモドキがピラカンサスの一種だとはあまり認知されていない。
ピラカンサスとピラカンサの違いは?
本記事では「ピラカンサス」としてご紹介していますが、概要欄の通り「ピラカンサ」と呼ばれることもあります。一見するとよく似た呼称ですが、両者にはどのような違いがあるのでしょうか?
調べてみたところ、本来の正式名称はピラカンサスではなくピラカンサだということが分かりました(※学名であるPyracanthaに由来)。それではなぜ語尾に「ス」が付いたかというと、英語で複数形を示す「s」に由来しているのだそうです。ピラカンサはバラ科トキワサンザシ属に属する常緑低木の総称であり、複数種類の樹木がこれに該当します。そこで、複数種類のピラカンサをまとめて「ピラカンサス(Pyracanthas)」と呼んでいたものが、いつしか単体の樹木を指す際にも用いられるようになった…という説が有力です。なお、現在はどちらの呼称でも通用しますので、明確に使い分けなくても問題ないのかな?とは思います。