本格的な春が到来し、あちこちで木々が芽吹き始めました。そんな木々の中でも一際目立つのが、今回ご紹介するレッドロビンです。この時期に見かける新芽は赤色をしており、遠目で見ると花かと勘違いしてしまいそうなくらいの鮮やかさです。
そんなレッドロビンは家や敷地の周りの生垣としてよく用いられている印象です。数ある樹木の中でレッドロビンが採用されるのには、何か理由があるのでしょうか?
レッドロビンの概要
科・属名:バラ科カナメモチ属
種別:常緑小高木
花色:白
花期:4〜5月
原産:アメリカ
別名:ベニカナメモチ、セイヨウカナメモチなど
花言葉:鮮やかなど
◎特徴:
カナメモチ(日本原産)とオオカナメモチ(東アジア原産)を交配させた園芸品種で、アメリカで誕生しました。春先になると光沢のある赤い新芽を伸ばすことからベニカナメモチと呼ばれることもあります。またレッドロビンには「赤いコマドリ」という意味合いがあり、こちらも新芽の赤さが由来となっています。
生垣によく用いられるのはなぜ?
「レッドロビン」「ベニカナメモチ」という名前自体はあまり聞き慣れないかもしれませんが、この時期に伸びる赤い新芽であれば見た記憶のある方も多いのではないでしょうか。その多くが家や敷地を囲む生垣として植えられていますが、なぜレッドロビンが好んで採用されるのでしょうか?
その理由としては、大きく以下の4点が挙げられます。
①成長が早く強剪定に強い
まずは何と言ってもこちらです。生垣を作る目的の一つが「周囲からの目隠し」ですが、そのためには目隠しに事足りる樹高まで木を育てる必要があります。レッドロビンは成長の早い樹木としても知られているため、植え付け後は比較的早く生垣としての役割を果たすようになります。
また、生垣として用いる場合は(思い通りの樹形になるよう)強剪定を何度も行う必要がありますが、レッドロビンは強剪定にも強いため安心です。
②葉の密度が高い
①の目隠しにも関連するのですが、レッドロビンは葉の密度が高いことでも知られています。常緑樹のため一年中葉を茂らせており、生垣としての適正は十分です。葉の密度が高いため、防風効果も十分に得ることができます。
③葉の水分量が多い
レッドロビンの葉には厚みがあり、中には大量の水分が含まれています。そのため葉はとても燃えにくく、火事などの延焼を防ぐ効果(防火効果)もあります。
④葉や花を見て楽しめる
レッドロビンは生垣としての特性(①②③)を持ち合わせているだけでなく、その葉や花も見て楽しむことができます。冒頭で触れた赤い新芽はもちろんのこと、春に開花する白い花や、夏にかけて葉の色が変化するグラデーション(赤→緑)も見所の一つです。
なおレッドロビンの新芽は季節によらず赤色をしているため、年に何回も剪定を行うことで年中赤い葉を楽しむことも可能です。
レッドロビンの新芽が赤いのはなぜ?
以前の記事からの引用になりますが、これには葉緑素が深く関係しています。葉緑素は光合成に必要不可欠な成分ですが、その正体はクロロフィルと呼ばれる緑色の色素です。葉が緑色に見えるのは、このクロロフィルの働きによるものなのですが、植物の新芽や若葉にはクロロフィルがまだ十分含まれていません。そのため、クロロフィル以外の色素が相対的に目立つ結果となります。レッドロビンに関しては、アントシアニン(赤色の色素)の含有量が相対的に多いため、葉が赤色に見えるというわけです。その後、葉の成長とともにクロロフィルが生成されるため、(アントシアニンが目立たなくなり)徐々に緑色へと変わっていきます。
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