4月に植え付けた夏野菜の苗は順調に成長し、続々と収穫シーズンを迎え始めました。写真を撮り忘れてしまったのですが、息子達と一緒に選んだミニトマトも少しずつ色が変化してきています。(少し前にも同じようなことを書いた気がしますが)野菜の成長を間近で観察し、好きなタイミングで収穫できるのも家庭菜園の醍醐味だと思っています。
さて今回は、そんな野菜の収穫タイミングに関する話題です。スーパーの食品コーナーなどに出向くと「朝採り野菜」という名前で野菜を販売していることがありますよね。朝採り野菜と言えば新鮮で美味しいイメージがあるのですが、新鮮さを求めるだけであれば別に朝収穫しなくても問題ないような気がします。それではなぜ朝に収穫し、「朝採り」と名前を付けて販売しているのでしょうか?
わざわざ朝に収穫するのはなぜ?
朝採り野菜とはその名のとおり、主に日の出前の早朝帯に収穫した野菜のことです。多くの方はまだ寝ている時間帯にあたりますが、なぜ早起きしてまでこの時間帯に収穫する必要があるのでしょうか?
その理由について深掘りするため、まずは早朝帯の特徴について考えてみることにしましょう。早朝帯といえば主に以下の特徴がありますが、実はこの2点が深く関わっていると言われています。
・日の出前のためまだ暗い
・1日の中で最も気温が低い
早朝帯はまだ日の出前のため暗く、(日光によって気温が上がることはないため)1日の中で最も気温が低いと言われています。野菜をはじめとする植物は、光合成(=日光により養分を作り出す行為)のほかに呼吸(=作り出した養分を消費する行為)も行っているのですが、実は収穫した後も呼吸だけは継続しています。この呼吸は野菜自体の温度が低いほど弱まる性質があるため、気温が最も低い早朝に収穫することで、収穫後の養分の消耗を抑えることができます。
なお、朝採りが適しているのはトマト、ナス、キュウリ、トウモロコシなどの主に実を食べる野菜(果菜類)です。果菜類は早朝に収穫することで養分や水分の消耗を抑え、みずみずしさを保つことができます。
夕方に収穫した野菜は美味しくないのか?
朝採り野菜がみずみずしくて美味しいということは、夕方に収穫した野菜(夕採り野菜)は美味しくないということなのでしょうか?
もちろんそんなことはなく、むしろ夕方に収穫した方が美味しいとされる野菜も多く存在します。それがキャベツやレタスなどに代表される葉菜類(葉物野菜)です。植物は日中光合成をしており、窒素(葉や茎の成長に欠かせない養分)を消費する代わりに糖分を作り出しています。一方で日光のない夜間は光合成を行わないため、根から吸収した窒素が消費されず、葉の中に蓄積されていきます。過剰な窒素は苦味・エグ味として残るため、窒素が蓄積された早朝に収穫すると苦味・エグ味の強い葉になってしまいます。そのため、葉菜類に関しては光合成を十分に行った夕方に収穫することで、苦味・エグ味が少なく、かつ甘みの強い葉となります。
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野菜は必ずしも新鮮じゃなくて良い!?
ここまでの内容をまとめると、以下のようになります。
・果菜類→早朝に収穫した方が、養分や水分が消耗されにくく美味しい
・葉菜類→夕方に収穫した方が、苦味・エグ味が少なく、かつ甘味が強くて美味しい
ここだけを読むと「野菜=新鮮なうちに食べた方が美味しい」と思ってしまいますが、実は新鮮ではない方がむしろ美味しい野菜も中には存在します。その代表格がサツマイモやカボチャです。サツマイモやカボチャのようなデンプン質の多い野菜は、収穫直後に食べてもあまり甘みを感じません。しかしながら、収穫後に追熟(糖化)させることでデンプンが糖へと変化し、甘味がグッと増すのだそうです。また、追熟中に余分な水分が抜けるため、ホクホクとした食感になります。
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