先日、家族で足を運んだテーマパーク内の遊歩道でギンリョウソウ(銀竜草)を見かけました。前回ギンリョウソウを見かけたのは2012年だったので、何と11年ぶりとなります。しかも今回は狭い範囲に密集していたため(※赤丸で囲んだ部分全て)、感動して何枚も写真を撮ってしまいました。。。
もちろん本ブログに登場するのも初めてなので、今回はギンリョウソウについてご紹介したいと思います。ギンリョウソウは花のようにもキノコのようにも見える不思議な存在ですが、その正体は一体どちらなのでしょうか。
ギンリョウソウ(銀竜草)の概要
(※上記写真は2012年に見かけた個体です)
科・属名:ツツジ科ギンリョウソウ属
種別:多年草
花色:白
花期:4〜8月
原産:日本、朝鮮半島、中国、台湾など
別名:ユウレイタケ
花言葉:はにかみ、そっと見守るなど
◎特徴:
日本をはじめとする東アジア原産の多年草で、日本では全国各地のやや湿った山林で見かけることができます。鱗状の葉(鱗片葉)を付け、かつ竜の頭に似た白い花を咲かせることからその名が付けられました。
ギンリョウソウモドキ(ツツジ科シャクジョウソウ属)と見た目がよく似ていますが、こちらは秋に開花するため比較的容易に見分けることができます。
▲ギンリョウソウモドキの花(参考)
ギンリョウソウの正体は花・キノコのどちら?
ギンリョウソウは透き通った白色をしており、かつ地面から直接生えています。別名がユウレイタケ(※)であることから私自身もキノコ(菌類)の一種だと思い込んでいたのですが…概要欄でも触れた通り、列記とした多年草(植物)です。今回私が見かけたのはギンリョウソウの花であり、花を咲かせることからも植物であることがわかります。
※見た目がキノコを連想させることに加え、開花時の姿が白衣を纏った幽霊のように見えることから「ユウレイタケ(幽霊茸)」とも呼ばれます。
しかしながら、葉緑素を持っていないため全体的に白く、葉も退化してしまっています(※鱗片葉は付いていますが、光合成の機能は持ち合わせていません)。わざわざ葉を伸ばす必要がないため、ギンリョウソウが地上に姿を現すのは開花〜結実までの数カ月間のみです。ギンリョウソウの実も同じく白っぽい色をしており、中には直径0.3〜0.4mm程度の微小な種が詰まっています。
どのようにして養分を得ているの?
ここまでの内容から、ギンリョウソウが葉緑素を持たない少し変わった植物であることがわかりました。ただ、植物と言えば光合成によって自ら養分を作り出すのが一般的です。それでは、ギンリョウソウはどのように養分を得て成長しているのでしょうか。
少し調べてみたところ、どうやら「菌類から養分を分けてもらっている」というのが答えになりそうです。ギンリョウソウの場合は、ベニタケ属・チチタケ属の植物と共生する菌類に寄生し、植物が作り出した養分を菌経由で受け取っています。このような性質を持つ植物のことを腐生植物(ふせいしょくぶつ)と呼び、ギンリョウソウの他にはヒメノヤガラなどが挙げられます。なお、同じような生態をした植物としてナンバンギセルやヤセウツボも挙げられますが、こちらは植物に直接寄生する「寄生植物」です。
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なお、ギンリョウソウは他の植物から直接養分を受け取ることができないため、成長のためには必ず共生菌類の存在が必要になります。「ベニタケ属・チチタケ属の植物」と「共生菌類」の2つが揃っていれば自身で栽培することも不可能ではありませんが、その難度はかなり高いと言われています。ということで、次も自生している個体を見かけることになりそうですが…今度は11年も間を空けずに見つけられればと思っています。