私の住む関東地方ではまだ梅雨に入ったばかりですが、本格的な夏はすぐそこまで迫ってきています。暑がりな私にとっては厳しいシーズンとなりますが、そんな時にひと時の癒しを与えてくれるのがミントを使った食べ物や商品です。ミントの品種や量にもよりますが、大抵の「ミント製品」はスースーとした涼しい印象を与えてくれます。
そこで疑問に思ったのですが、ミントを使うことで本当に体温を下げてくれているのでしょうか?あるいは、身体が錯覚して冷たいように感じているだけなのでしょうか?
ハーブとミントの違いについて
本題に入る前に、ミントと混同してしまいがちな「ハーブ」についても少し触れておきたいと思います。以前に投稿した記事からの引用になりますが、ハーブとミントにはざっくり以下のような違いがあります。つまり、ミントはハーブの一種であり、ハーブは必ずしもミントではない…ということになります。
◎ハーブ:葉や茎に香りを持つ有用植物の総称
◎ミント:ハーブのうち、シソ科ハッカ属に属する植物の総称
◎関連記事はこちら
ミントが冷たく感じるのはなぜ?
ミントがスースーと冷たく感じるのは、メントールと呼ばれる成分によるものです。メントールはシソ科ハッカ属の植物(=ミント)に多く含まれる有機化合物で、この成分が身体の温度センサーを刺激することで「冷たい」という感覚を生み出します。その結果、清涼感が得られるため冷たく感じるというわけです。
なお、この清涼感はあくまでもメントールが引き起こす錯覚によるものであり、実際に体温が下がっている訳ではありません。よく体温を下げることを売りにした商品を見かけますが、これらに関してもメントールによって体温を下げているのではなく、気化熱などの別の作用を利用しています。ここにミント(メントール)を加えることで、体温が元に戻った後も長く冷たさを感じることができます。私もこの時期よく汗拭きシートを使うのですが、(少しでも長く冷たさを感じられるよう)購入の際にはメントールの入った商品を選ぶようにしています。
なお、メントールはミント以外の植物にも一部含まれています。代表的なところではユーカリ、ローズマリー、バジルなどが挙げられますが、いずれもミントに比べると含有量は少なめです。そのため、天然のメントールは大抵ミントから抽出されているようです(※ニホンハッカから抽出したハッカ油など)。
【余談】カプサイシンは体温を上げるのか?
今回ご紹介したメントールとは対照的に、身体の温度センサーを刺激して「熱い」という感覚を生み出すのがカプサイシンです。カプサイシンと言えば唐辛子でもお馴染みの成分ですが、唐辛子がたくさん入った料理を食べると汗をたくさんかいてしまうイメージです。ということは、カプサイシンには体温を上げる効果があるということなのでしょうか?
こちらも実際に調べてみたところ、メントールと同様、カプサイシンにも体温を変化させる効果はないようです。ただカプサイシンを摂取することで身体の代謝が一時的に上昇し、発汗を促すことがあります。この際、身体が熱を発散しようとするため体温が上がったように感じるケースもありますが、実際の体温はほとんど変化していないのだそうです。